今回は、SDGs(持続可能な開発目標)の達成に向けた世界の重要な取り組みである「自発的国家レビュー(VNR: Voluntary National Reviews)」について、最新の動向を交えてわかりやすく解説します。
1. VNR(自発的国家レビュー)の概要と目的
「持続可能な開発のための2030アジェンダ」では、加盟国に対して、国家および地方レベルでの定期的な進捗レビューを主体的に実施することを推奨しています。これが「VNR」と呼ばれる仕組みです。
VNRは、毎年7月にニューヨークで開催される国連の「ハイレベル政治フォーラム(HLPF)」において発表されます。主な特徴と目的は以下の通りです。
自発性と主導性: 各国が自発的に取り組み、国主導(country-led, country-driven)で進められます。先進国と途上国の双方が対象となります。
多様なステークホルダーの参画: 政府だけでなく、市民社会、民間企業、研究機関など、複数のステークホルダーがプロセスに関与します。
経験と教訓の共有: 成功事例だけでなく、直面している課題や得られた教訓を共有することで、2030アジェンダの履行を加速させます。
政策と制度の強化: 政府の政策や制度を強化し、SDGs達成のためのマルチステークホルダーによる支援やパートナーシップを活性化させます。
2. 2026年HLPFにおけるVNR発表国(36カ国)
2026年7月のHLPFでは、以下の36カ国がVNRの発表を行う予定です。
【発表予定国一覧】 アルバニア、アルジェリア、バーレーン、ブラジル、ブルキナファソ、ブルンジ、カーボベルデ、カメルーン、コンゴ民主共和国、エジプト、エストニア、ガボン、ギニア、ギニアビサウ、イタリア、ジャマイカ、ヨルダン、キリバス、リベリア、マラウイ、マーシャル諸島、モザンビーク、ノルウェー、モルドバ共和国、ルワンダ、セントクリストファー・ネービス、サウジアラビア、セネガル、ソマリア、スイス、トーゴ、トンガ、チュニジア、アラブ首長国連邦、タンザニア連合共和国、ウルグアイ
国連経済社会局(DESA)は、これらVNR発表国を支援するため、パートナー機関と協力して毎年ワークショップを開催しています。2026年に向けた準備として、すでに以下の公式ワークショップが実施され、概要が公開されています。
第1回ワークショップ: 2025年12月16日〜18日(イタリア・ローマ)
第2回ワークショップ: 2026年4月8日〜10日(ブラジル・ブラジリア)
3. 関連リソースと最新情報へのアクセス
VNRの作成や研究に役立つ各種公式リソースが国連から提供されています。これまでの歩みや最新のガイドラインを把握するために非常に有用です。
VNRデータベース: これまでに提出された400以上のVNRレポートの概要を閲覧できます。
事務総長ガイドライン: VNR作成のための最新の改訂版ガイドラインが公開されています。
VNR準備ハンドブック: 英語、フランス語、スペイン語、アラビア語、ロシア語、中国語の各言語で最新版がダウンロード可能です。
2025年 VNR統合報告書(Synthesis Report): 前年の知見が網羅されています。
主要メッセージの編集版(Advance Unedited Version): 2026年VNRに向けた主要メッセージのコンピレーションです。
バーチャル知識交換(Virtual Knowledge Exchange): 2026年VNRに向けたアプローチやツールの共有が行われています。
経済社会理事会(ECOSOC)議長からは、2026年HLPFでの発表国リストを告げる書簡や、参加表明を募る書簡が発出されるなど、今夏のフォーラムに向けて着実に準備が進められています。各国がどのような課題を共有し、どのように政策を深化させていくのか、今後の発表に注目が集まります。
次回の記事では、パキスタンの最新のVNR(2022年)についてご紹介します。
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