2026年10月19日月曜日

アガ・カーン財団のパキスタンにおける民間協働事例

 国際開発や教育支援の分野において、「学校安全」の重要性がますます高まっています。学校安全とは、自然災害から校舎を守る構造的安全性(ハード面)にとどまらず、子どもたちが感染症や健康リスクから守られ、安心して学習に専念できる「衛生・健康安全(WASH: 水・衛生・衛生習慣)」や衛生管理を包括した概念です。

今回は、アジア・アフリカ地域で半世紀以上にわたり包括的な地域開発を行うアガ・カーン財団(Aga Khan Foundation, AKF)の取り組みを整理し、特に近年パキスタンで始まった最新の「学校衛生・安全」プロジェクトの事例を紹介します。


1. グローバル視点での「学校安全」とAKFのアプローチ

アガ・カーン財団(AKF)は、アガ・カーン開発ネットワーク(AKDN)の主要組織として、世界18か国(アジア・アフリカ中心)でコミュニティ主導型の開発を展開しています。教育や保健・栄養、環境レジリエンス(気候変動対応)を別々の領域として扱うのではなく、総合的に組み合わせるアプローチが強みです。

AKFが捉える「学校安全」の主要ピラーは以下の3つに集約されます[cite: 1, 2]。

  1. 環境・インフラの安全(WASHの提供)

    • 安全な飲み水、清浄なトイレ設備、手洗い場の設置。これにより、コレラや下痢症、水系感染症の発生を防ぎ、身体的な安全を確保します。

  2. 個人の衛生・健康安全(ソフト面教育)

    • 正しい手洗い習慣や適切な衛生習慣の定着を図り、健康被害や感染予防を自分自身で実践する力を育みます。

  3. ジェンダーと尊厳に配慮した安心な環境づくり

    • 水・衛生設備の不足は、特に高学年の女子生徒の不登校や退学(MHM: 月経衛生管理の課題によるもの)の主因となります。プライバシーが確保された安心できるトイレ設備の改修は、女子教育における「学校安全」の重要課題です。

2. 【注目事例】パキスタンにおける民間協働プラットフォーム「Saaf Sehatmand Pakistan」

AKFが特に強固な現地基盤を持つパキスタンにおいて、2026年9月に民間企業と連携した大規模な学校安全・衛生支援が始動しました。

日用品大手Reckitt Pakistan(「Dettol」や「Harpic」などの衛生ブランドで展開)は、AKFと協定を結び、社会的インパクト・プラットフォーム「Saaf Sehatmand Pakistan(清潔で健康なパキスタン)」を立ち上げました。

プロジェクトの主な柱(学校現場での実施):

  • WASHインフラの改修・整備: 安全な飲料水の供給、学校トイレの改修、手洗い設備の建設(特にシンド州の農村部を中心とした学校から着手)。

  • 衛生教育の実践: Reckitt社が誇るヘルス&ハイジーンの知識と教育コンテンツを活用し、子どもたちが早期から正しい衛生習慣を習得できるカリキュラムを提供。

  • 企業の強みとNGOの現場力の融合: Reckitt社の製品・教育ノウハウと、AKFが長年培ってきた地域社会でのWASH支援経験および草の根のネットワークを組み合わせることで、持続可能かつ効果的な学校環境の安全確保を目指しています。

AKFパキスタン全国委員会委員長は、「すべての子どもには、安全で健康的に尊厳が保たれた学習環境を教授する権利があります」と述べ、この協働が子どもたちの通学・在学維持に欠かせないインフラであることを強調しています。

まとめ:包括的な「学校安全」が拓く子どもの未来

学校安全とは、単に災害時に身を守るための避難訓練にとどまりません。「毎日通う学校の環境が安全で、衛生的であり、子どもの尊厳が守られていること」こそが、学校安全の根幹です。

AKFとReckitt社によるパキスタンの先進事例は、NGOと民間企業が手を取り合うことで、学校現場の安全環境を一歩先へと進められることを提示しています。こうした多角的なパートナーシップによる学校安全の確保は、今後アジア・アフリカ各地でさらに必要とされるアプローチと言えるでしょう。

参考ウェブサイト

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シンド州の子供たちを脅かす課題と、「学校の安全」を守る多角的な取り組み

本記事では、最近の現地メディア報道の記事をもとに、パキスタン南部シンド州(Sindh)の近年の事例に焦点を当て、子どもたちや教育環境を脅かす多様な課題と、行政・国際機関・地域社会が取り組む多層的な対策について考察します。 Tribune紙、2026年8月27日記事