国際開発学会 2026年度 第27回春季大会が2026年6月27日(土)に、 明治学院大学 白金キャンパスで開催されます。
ラウンドテーブル(RT)において、本研究代表の高柳妙子氏が座長を務め、研究協力者の池田直人(押鐘サイエンスラボ)、磯部陽子(KRC)、堀場浩平(IDCJ)が発表します。
RTのタイトルは、「アジアにおける障害児のインクルーシブな教育と就労にかかる国際的介入への考察」です。
要旨は以下の通りです。
1. 背景・問題関心・問い
SDGsと障害者権利条約のスローガンは、それぞれ「誰一人とり残さない」、「私たちのことを、私たち抜きに決めないで」である。これらから言えるのは、障害児の就学から就労という視点において、インクルーシブであり、かつ、そのプロセスに当事者が参画することの重要性である。ここで当事者とは、障害者団体、障害児者とその家族である。国際開発においては、様々な取り組みが実施されてきたが、近年、日本によって実施されてきた事業については広く公開されておらず、これらの事業の中で、上記のスローガンがどのように組み込まれているのか検証がなされていない。
2. 先行研究に対する批判的検討と本研究発表の位置付け
日本が実施する国際協力事業に関する既存の文献をレビューすると、政府機関(JICA等)およびNGO(非政府組織)の双方において、以下の課題がある。
第一に、JICA等の政府開発援助(ODA)プロジェクトは、大規模な制度構築やインフラ整備において顕著な成果を上げているものの、その評価報告書はアウトプットの達成度に偏重しがちであり、事業の過程で当事者がどのように意思決定に関与したかというような質的な検証が不十分である。
第二に、日本のNGOによる事業は、地域社会に深く根ざし、当事者やその家族に寄り添ったきめ細やかな支援を展開しているが、資金や人員の制約から活動内容が学術的に体系化される機会が少なく、当事者参画の具体的なノウハウや障壁が広く公開・共有されていない。
3. 主要な論点
主要な論点は、障害児の教育から就労にかかる国際開発事業に従事してきたメンバーが、各事業実施における知見をもとに、「「分離されない教育」の探究:ネパールにおけるインクルーシブ教育モデルの構築に向けて」、「パキスタンにおけるインクルーシブ教育推進への親の参画」、「モンゴルにおける就学・就労をつなぐインクルーシブ支援システム構築」と題して事例紹介をする。
3. 期待される成果
各国の文脈の中で、障害児の就学や就労についてどのような課題があり、どのような対応が取られるべきなのか、当事者がどのような形で関与しているか、という論点を議論する。議論を通して、国際協力事業の様々なアプローチの可能性を検証しつつ、関連する分野の学術研究の基礎となる情報が提供される。
キーワード:障害児、インクルーシブ教育、就労、国際協力、アジア
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