パキスタンにおいて、障害のある子どもたちや脆弱な立場にある家族が適切な公的サービスを受け、教育の機会を確保するためには、何が最大の障壁となっているのでしょうか。調査の結果、それはサービスの欠如そのものではなく、「サービスが存在することを知らない」という情報のアクセシビリティ(入手可能性)の低さにあることが明らかになりました
AAR Japanパキスタン、インクルーシブ教育促進プロジェクトによる事前調査結果
1. 深刻な情報の欠如:93%が手帳を未所持
2019年にAAR Japan(難民を助ける会)が実施した調査では、障害のある子どもたちの93%が障害者手帳(DC)を所持していないという衝撃的な実態が浮かび上がりました
公的支援を受けるための「入り口」である情報が届いていないことは、子どもたちが教育や医療から遠ざけられる直結した原因となっています。特に聴覚障害のある家庭では、手帳制度の認知率がわずか5%にとどまっており、障害特性に応じた情報伝達が喫緊の課題です
2. 「障害者用CNIC」が拓く、教育と生活の可能性
パキスタンには、障害者手帳(DC)に加えて、障害者マークが付与された身分証明書「障害者用CNIC」という制度があります
このカードを保有することで、以下のような多大なメリットを享受できます
教育・雇用: 公的機関における障害者雇用枠(2%〜5%)への応募資格や、教育支援(Benazir Taleemi Wazaif)の活用
。 経済的支援: 現金給付プログラム(BISP)の優先対象
。 医療・移動: 公立病院での治療費免除や、鉄道・航空券の50%割引
。
3. 学校安全と就学保障の視点から
「パキスタンにおける脆弱層にある子どもの就学を保障する学校安全」という視点に立つと、これらの公的サービスは生活を支える重要なセーフティネットです
子どもたちが安心して学校に通い、学びを継続するためには、物理的なバリアフリー化だけでなく、**「情報のバリアフリー」**が不可欠です。点字、手話、平易な表現など、障害の特性に合わせた方法で情報を確実に届けることが、子どもたちの社会参加とQOL(生活の質)の向上に直結します
4. 今後
現在、パキスタン政府もデジタル化(モバイルアプリ「Pak Identity」の活用)や、住宅支援プログラムにおける障害者世帯への配慮など、改善の動きを見せています
「知っていること」が「生きること」に直結するパキスタンの現状において、行政、JICA、NGO、そして障害当事者団体が連携し、情報を届けるプラットフォームを強化していくことが、すべての子どもたちが安全に学校へ通える社会を実現するための第一歩となります
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